すでにわが家の車には、一つドライブレコーダーが取り付けてあります。これに追加でもう一つドライブレコーダーを取り付けました。
AZDOMEのM550というドライブレコーダーです。
あくまで補助的に使用する予定で取り付けたのですが、思いのほか高性能で、これ一つだけ取り付けても充分使える製品でした。
2022年時点で3カメラのドライブレコーダーを購入するのなら、スペック的にはVANTRUEのN4が最もいいと思います。しかし普通に使える安価なドライブレコーダーを探している方は、このAZDOME M550でも十分満足できるでしょう。
このAZDOME M550を詳しくレビューします。
目次 (クリックで飛べます)
AZDOME M550概要
AZDOME M550(以下E550)は、3カメラのドライブレコーダーです。
- 画質が良い
- 明るさが急激に変化した時も露出が素早く対応するWDR搭載
- 小型で取り付け場所に困らず邪魔にならない
- 室内カメラの使い勝手が最高
- 取り付けブラケットにGPS内蔵
- リヤカメラのケーブルは6mあり、大型車でも配線の取り回しが楽
M550はこのように特筆すべきことがとても多いドライブレコーダーです。
画質が良い
ドライブレコーダーで最も重要なことは、録画した映像の画質がいいことです。
このM550は、フロントカメラは4Kで録画できるとされています。リヤと室内はフルHDとなり、いずれも充分な高画質で録画できるようです。
このドライブレコーダーは3カメラ同時録画できます。4Kでの録画は2カメラで撮影している場合のみです。
2カメラでは4K+1080画素となり、3カメラでは1440画素+1080画素+1080画素となります。
まずは昼間に撮影についてです。
M550で4K画質の撮影するためには、フロントとリヤの2カメラでの撮影にしなければなりません。
2022年前半では最高の解像度で撮影できると言われるVANTRUE X4S Duoと、M550の動画データを比較してみました。
M550で録画した映像と、VANTRUE X4S Duoの映像をキャプチャしてみました。
まったく同じ位置からの撮影です。お気づきかもしれませんが、M550の方が画角が狭いです。
M550の方が、X4Sよりも明らかに画角が狭いのです。M550がフロントカメラの画角は170度で、X4Sは131度となっています。カタログ値は圧倒的にM550の方が画角が広いはずなのですが、実際はX4Sの方が広角に撮影できています。
この2枚の画像は、同じ位置からの撮影です。X4Sは左横の家の窓まで写っていますが、M550は写っていません。画角が狭いだけに対向車もひとまわりり大きく写っていることがお判りでしょうか?
M550の画角がX4Sよりも狭いのですが、画角が広いほうが多くの場所を録画することができます。斜め前からぶつけられるような事故が起きた時に、証拠を取り逃しにくくなります。その点では画角が広いドライブレコーダーの方が好ましいでしょう。
しかし画角が狭いことは、悪いことばかりではありません。
フロントカメラの映像を見ると、ナンバー名の読み取りは、何と最高画質と言われているX4Sを凌いでいます。
ナンバープレートを拡大してみると、明らかにM550の方が数字がくっきりと写っています。
画角がM550の方が狭いですが、ナンバープレートの読み取りはM550の方が優秀です。
次にM550を3カメラで撮影した時の映像の比較です。
つまりVANTRUE X4S Duoは4K(3840×2160画素)で、AZDOME M550は4Kではない1440×1080画素での比較になります。M550の画素数はX4Sの1/4なので、普通なら圧倒時にX4Sの圧勝のはずです。
上がVANTRUE X4Sで下がAZDOME M550です。今回は天気の悪い日を比較日に選びました。
このテストでもナンバーの読み取り制度を比較してみました。
左がX4Sで右がM550です。
雨天で条件の悪い撮影ですが、M550の方が対向車のナンバープレートがX4Sよりもはっきり写っています。先ほどのテストと同様に、元の画像では画角の違いでM550の方が車が大きく写っています。大きさを合わせるためにX4Sの画像は引き延ばしてあります。
対向車を大きく写すことができるため、ナンバーの読み取りはM550の方が有利です。しかし今回はX4Sは3840×2160画素で、M550は1440×1080画素です。画素数が1/4であるにもかかわらず、同じ位置を走る車を撮影した場合、M550の方がナンバープレートがはっきり写せるということです。
画角が狭いとはいえこの条件でX4Sの画質を凌ぐのですから、M550の画質が優れていると言うしかありません。
少し気になるのは、M550はX4Sよりも黒つぶれがひどいことです。
対向車のフロントグリルを見ると、X4Sはグリルの中のラインが映し出されていますが、M550はグリルの中は真っ黒です。フロントバンパーも同様です。
カメラのダイナミックレンジは、X4Sの方が広いことは間違いないでしょう。
とはいえここまでのテストの結果で考えると、M550の1440×1080画素は、とても優れた撮影モードだと言えるでしょう。
フロントカメラが4K録画できると謳われている製品は、次々に発売されています。
しかし実際には4Kでは録画できない海外製の製品にも、「4K録画可能」として発売されていることもあるようです。
このM550も4K録画できるとされていますが、それが事実なのか自分なりに検証してみました。
X4S Duoの 4K動画は3分あたり638㎆の容量ですが、このM550は約314㎆のデータ容量です。
X4S Duoは4K 800万画素ですが、M550も同じく4Kで800万画素と謳っています。しかし実際には400万画素ではないか(使われているセンサーが400万画素のものである可能性が高い)という情報を、ネット上で見たことがあります。
動画データの大きさだけで考えると、M550はX4S Duoの半分のデータの大きさなので、4Kで撮影されていない可能性はあると思えます。
たとえ4Kではなかったとしても非常に詳細な動画画質なので、このM550はフロントカメラの映像に不満はありません。
そしてリヤカメラの映像です。
VANTRUEのX4S Duoの画質は以下です。解像度はフルHDで、画角は131度です。
M550の画質は以下です。解像度はフルHDで、画角は170度です。
ほんの少しM550の方が画角が広く撮れているようです。131度と170度の違いがあるかどうかは微妙ですが、X4Sより画角が広いことは間違いありません。
画質ですが、X4Sの方が細かなところではしっかり解像しています。
特に右端の木の葉の質感は、X4Sの方が詳細に表現されています。
ナンバープレートの読み取りは、ほとんど変わりません。
X4Sの方がダイナミックレンジが広いようで、車のフロント部の陰になっているところが明るく写っています。
リヤカメラの昼間の映像を比較すると、以下のようになります。
- M550の方が少し画角が広い。
- X4Sの方が解像度は高い。
- X4Sの方がダイナミックレンジは広い。
全体を考えると、昼間の映像はM550よりもX4Sの方がやや優秀だと判断できます。
とはいえナンバーの読み取りは互角でしっかり写っていますから、ドライブレコーダーとしてはM550でもまったく問題なく使用できるでしょう。
夜間の画質もよい
次に夜間の映像についてです。
夜間でも驚くほど鮮明にまわりを映し出しています。
リヤカメラもかなりきれいです。
以上のように、映像に関してはこのM550は安価な3カメラのドライブレコーダーとしては、かなり画質が優秀な製品だと感じました。
WDR(ワイドダイナミックレンジ)搭載
このM550には3カメラともWDR(ワイドダイナミックレンジ)の機能があるとされています。
これらは急に暗くなった時に画面が真っ黒のままの状態が長く続いたり、急に明るくなった時に画面が明るくなりすぎて被写体の判別ができなくなることを防止するための機能です。
この機能があると、昼間にトンネルに入った時や出た時などでもまわりの状況をしっかり録画してくれます。
この機能が効いているため、露出の補正は早いです。
高性能と言われているX4S Duoと比較しても、ほぼ同等の露出補正能力があると感じられました。
ほんの一瞬ナンバープレートが映らない時間がありますが、他社のドライブレコーダーと比べても、かなり優秀な露出補正能力があります。
ただ注意してほしいのは、このM550はデフォルトではWDRがOFFになっていたことです。
必ず設定を変更して、WDRをONにしてご使用ください。
本体がコンパクト
録画された映像のクオリティーは素晴らしいのですが、私が特に気に入ったのは、本体がとてもコンパクトなことです。
VANTUREのX4S Duoは私はかなり気に入っていますから、同じVANTUREのN4も購入したい気持ちがありました。しかしあえてN4を買わずにM550を購入した理由は、本体がコンパクトだったからです。
正直X4S Duoは取り付けると大きく下に垂れ下がります。
N4はX4S Duoよりは縦に短いですが、それでも結構な場所を取ります。
しかしM550は、本体がとてもコンパクトなので、フロントガラスに付けても邪魔になりにくいのです。
同じような3カメラのドライブレコーダーは、本体がかなり大きいです。手のひら一杯にずっしりと乗るくらいの大きさのものが多いのです。
しかしこのM550は、手の上に乗せてもとても小さいと感じます。
この小ささがあるので、少々能力が劣ってもN4ではなくM550を購入したのですが、思いのほか画質が良かったはうれしい誤算でした。
室内カメラの使い勝手が最高
このM550の特徴の一つに、室内撮影用のカメラを簡単に取り外せることがあります。
室内用カメラは本体に、HDMEコネクタ一つで取り付けられます。外すのも簡単です。
室内を撮影する必要がない場合や、フロントガラスに取り付けられる物を少しでも減らしたい場合などには、すぐに取り外せることは大きなメリットです。
また室内カメラには、6つの赤外線LEDが付けられています。
このため真っ暗闇でも鮮明に映像を記録することができます。
ほぼ真っ暗な状態でも、人の姿を完璧に判別できるほどしっかり録画ができました。
夜間に駐車中している車の監視に役立ちます。
そしてこの室内カメラは、レンズの角度を変えることができます。
室内を撮影するような普通の使い方をする場合、可動範囲まったく不満はなく十分です。
取り付けブラケットにGPS内蔵
M550は取り付けブラケットにGPS受信機が内蔵されています。
GPS受信機があると、どの位置を走ったのが記録してくれますし、何と言ってもGPSを受信した瞬間に時計を自動的に合わせてくれるのが便利です。手動での時計合わせのわずらわしさがなくなるのは、私にとっては大変なメリットでした。
また位置だけでなく速度も記録してくれます。いざという時に「時間」「位置」「走行スピード」を記録してくれることで、いざというときの証拠がしっかり揃います。
リヤカメラの配線が長い
リヤカメラの配線は、6mあります。
大型のミニバンでも、やり方によっては充分にリヤに配線を取りまわせる長さです。
M550の欠点
M550にも欠点があります。
ひとつはリヤカメラの取り付けが、とても難しいことです。
付属のブラケットでは簡単には取り付けられない車種がとても多いのではないでしょうか?
リヤガラスに直接貼り付けることは不可能です。リヤドアの枠に取り付けることになりますが、車種によってはリヤドアの枠には金属がむき出しになっていないことも多いのです。その場合は天井に取り付けることになります。
しかし天井に取り付けるとしても、車の天井には天井内張りがあり、それに両面テープで取り付けることは、粘着力が足りないため不可能です。
天井内張りをはがして直接屋根の金属部分に取り付けるなどの施工が必要です。
これは大きな欠点だと思います。
リヤカメラの形状的には、「今どきこの形はないだろう!」と思えてしまいます。大きすぎます。
AZDOMEからは、このリヤカメラ専用のステーも発売されています。
リヤカメラの取り付けに困ったら、これを使用してみてはいかがでしょうか?
いとも簡単にリヤカメラが取り付けられるように紹介されていることもありますが、このステーがないと取り付けられない場合もあります。
私は別のリヤカメラに両面テープでくっつけています。
右がVANTRUE X4S Duoのリヤカメラで、その横に両面テープでM550のリヤカメラを張り付けてあります。このような取り付け方をしない限り、簡単にはリヤカメラは取り付けられない場合があることがM550の欠点です。
二つ目の欠点として、本体をフロントガラスに取り付けるのですが、上下には動きますが、横方向にレンズの角度を変えることができません。
車のフロントガラスは平らではなく湾曲していますから、横方向で中心に取り付けない限り、カメラの撮影軸がずれることになります。
私の場合はレーダーブレーキサポートのユニットがあるためセンターに取り付けられず、中心より右に取り付けてあります。この場合はカメラは右を向いてしまいますから、左側の撮影範囲が狭くなってしまいます。
三つ目の欠点としては、フロントカメラの画角は170度との説明がありますが、131度とされているX4Sよりも狭いことです。確認してみましたが、間違いなく170度はありません。
画角が狭いために斜め前からの衝突があった場合の映像が撮れない場合があるかもしれませんが、その分ナンバーの読み取りがはっきりできています。
私は実用的にはM550の画角で狭すぎると感じたことはありませんので、この点をこだわる必要はないと思っています。
以上のように少々の欠点はありますが、安価で性能も高いM550は、私のニーズにはぴったりの製品でした。
ただしM550には少々気になることがあります。
AZDOMEの製品は、電波法の技適認証を受けていないのではないかという情報を、ネットで見かけました。
技適認証(技術基準適合証明)を受けてない機器は、電波を発してはいけないとされています。もしAZDOMEの製品が技適認証を受けていない場合、これを車に取り付けてWi-Fiを使用した場合、法律違反になります。
このM550はボタンを押してWi-Fiモードにしない限り、電波を発しません。技適認証を受けていない物でも、車に取り付けるだけで電波を発しなければ問題ありません。
私は設定はすべて本体のモニターで行いますから、車に取り付けた状態ではWi-Fi機能は常時OFFになっています。
もしM550が技適認証を受けていないとしても、電波を発しなければ問題ありません。つまり私のような使い方をすれば、(たとえM550が技適認証を受けていなくても)車に取り付けて合法的に使用することは可能なのです。
まとめ
画質がいいだけでなく、安価、コンパクト、フロントは4Kでの撮影が可能、室内カメラが取り外し可能で赤外線LED付き、視野角が広い、などとスペックも優秀なM550です。
3カメラで室内もしっかり録画できることも大きなプラスポイントです。
中国製のドラレコですが、かなり高性能でどなたでも満足できる製品だと思います。