ハウスメーカーを選んでいる最中の方、または一条工務店で家を建てようと(ほぼ)決めた方。
まだ契約前でしたら、後悔しないために、今一度ハウスメーカー選びについて考えてみてください。営業さんの巧みなトークにやられて、正しい判断力ができずに契約してしまい、後悔する人もたくさんいるのです。
家は一生に一度の大きな買い物です。様々な角度からハウスメーカー選びを考えるべきであり、しっかり検討したつもりでも、知らないことがたくさんあるものです。
検討すべきことをすべてやった後に決めたハウスメーカーならば、家が完成して入居した後もずっと満足した生活ができるでしょう。でもそれができている人は、とても少ないのです。
ぜひ皆さんにはたくさんの角度からハウスメーカー選びについて考えていただき、後悔のない選択をしていただきたいです。
一条工務店で家を建てた私が、一条工務店との契約時のことを中心に、ハウスメーカー選びについて大切なことを詳しく紹介します。
仮契約について
一条工務店の仮契約は、100万の契約金がかかります。本契約ではなく仮の契約なのに、100万円ものお金を払うことになるのです。仮契約で100万と聞くと、ちょっと尻込みしてしまう人も多いのではないでしょうか?
どうして契約金が必要なのか
契約金が必要な理由は、仮契約でも家づくりのプランが進んでいくからです。どんな家を建てるのか、設計が始まります。家の設計を簡単に考えている人が多いと思いますが、設計士さんが時間を掛けて一生懸命作ります。当然設計士さんが働く件費がかかるのです。
もし仮契約で間取り図面を作ったのに、契約解除されたらその図面を作るために働いた時間はまったく無駄になります。このようなことを避けるために、仮契約金を取るのです。
もちろんこの仮契約金は、設計士さんが間取り図面作成に着手前なら、仮契約を解除しても差し引かれることはありません。もし仮契約を解除するなら、早めに行う方がいいのです。
ただし契約時に収入印紙が使われます。これは契約した時にすでに発生した費用のため、収入印紙代の2万は、戻ってこないと考えてください。
すぐに仮契約を解除した場合、最大で98万円が戻ってきます。しかし解除が遅れると、設計費用などが差し引かれます。
多くのハウスメーカーは、この費用を取らないのですが、それがいいことかどうかは疑問です。契約した人の建築費用に、仮契約時にかかった人件費が上乗せされているだけなのですから。
契約する前に
仮契約で100万かかる理由を知っても、「仮契約で100万もかかるなんて」と違和感を持つ人は多いようです。一条工務店もまず仮契約をさせておき、解約するとそこまでかかった費用が差し引かれることをアピールし、解約されないようにしています。
他のハウスメーカーにしたい気持ちが出てきたとしても、100万円が戻ってこないのでは、契約解除を躊躇してしまうことは多いのです。
つまり「本気で一条工務店で家を建てる」という強い気持ちがない限り、仮契約を行うべきではないのです。
営業さんの勢いに押されて仮契約をしてしまう人がとても多いようです。家はとても高い買い物です。契約をすることを考えると、興奮状態になります。興奮状態は肯定的な判断を増加させるとも言われます。
一条工務店で家を建てることを決めた方も、もう一度それで問題ないか考え直してみましょう。
私は一条工務店で家を建てました。性能重視で選んだ結果です。しかし仮契約で100万のお金が必要だと聞いた時、本当にこのまま契約していいのか、あらためてもう一度、落ち着いて考えたのです。一条工務店で家を建てないほうが、幸せになれる場合もあることに気づいたからです。
その時に私が思った、「一条工務店ではないハウスメーカーにしたほうが幸せになれる」パターンを紹介します。
一条工務店を選らばない方が幸せになれる場合
一条工務店より坪単価が安いハウスメーカーを選ぶ
まずは一条工務店より価格が安い、つまり津保単価が安いハウスメーカーを選んだ場合、どのようなメリットがあるのか考えてみました。
大きな家が建てられる
一条工務店より安いハウスメーカーを選ぶ場合、大きな家が建てられます。
一条工務店の家は高いです。わが家の坪単価を計算すると、何と・・になりました。オプションや経費を計算すると、一般的に言われている坪単価よりもはるかに高くなります。
家を建てる予算は限られていますから、高いハウスメーカーで家を建てると、家が小さくなります。一条工務店より坪単価が安いハウスメーカーを選ぶと、同じ費用でも大きな家が建てられるのは当然です。
大きな家を建てられることは、かなり快適さが増します。高いハウスメーカーだと家が小さいので子供部屋が1つしか作れないのに、大きな家だと2つ作れるようになります。また収納場所がたっぷり取れるなど、ゆとりのある生活ができます。
一条工務店よりも安いハウスメーカーで家を建てれば、性能は落ちます。しかしその性能が本当に必要でしょうか? 少々性能が落ちても、大きな家を建てられた方が満足できることもあるのです。
リーマンショックの時、家を建てもローンが払えず手放した人が多くいたのです。残業を見込んでローンを組むと、とんでもないことになるかもしれません。坪単価を含めて、本当に一条工務店で建てるのが正しい選択なのか、考え直すことも必要です。
大きな土地が買える
上記のように、坪単価の安いハウスメーカーを選ぶと、家に書けるお金が少なくなるため、大きな土地が買えます。土地が広いと、隣の家との間隔が狭くて、昼間でも薄暗くて気持ちの良くない家になってしまうこともあります。
土地にお金を掛けられれば、いい条件の土地が買えます。土地に書けるお金を増やすことは、とても大切です。
ローンが安くなる
住宅ローンは借入金が多くなればなるほど、月々の支払いも多くなります。住宅購入費用が安くなれば、借入金が安くなり、月々の返済金額も下がり、生活が楽になります。当然のことながら、借入金が少ないと、利子の総金額も少なくなります。
ローンが安くなることはとても魅力的ですね。
高い設備が入れられる
坪単価が下がり、家の建設費用が下がれば、下がった分を住宅用設備に回せます。エコキュートをアップグレードしたり、オプションをたくさん付けたりできます。実際ローコスト住宅を建てて、ハイグレードな設備を入れて快適だと言っている人もいます。
ローコスト住宅で設備を豪華に! この方が満足できるかどうかも、検討する価値はあります。
一条工務店と同等もしくは高いメーカーを選ぶ場合
おしゃれな家が建つ
一条工務店主力商品のi-smartは、一見してi-smartだとわかります。同じくらいの大きさの家だと、間取りまでそっくりになることもあるのです。それが嫌で一条工務店を選ばない人も多くいます。
i-smartは室内空間もそれほど凝った作りにはなりません。
一例をあげると、大手ハウスメーカーでは住友林業の家は、室内空間がとても凝ったおしゃれなものにすることができます。
しかし一条工務店では、基本的には壁を組み合わせて室内を作るだけなので、天井の形状も単純ですし、壁も複雑な形にはできません。
外観および室内空間を、ドラマにも出てくるようなおしゃれな物にしたい場合は、一条工務店では不満が出てくる可能性はあります。
今では家の性能は、どのハウスメーカーも上がっています。もちろん違いはありますが、大手ハウスメーカーであれば、一定以上の性能は確実に確保されています。
それ以上を求めて一条工務店i-smartを建てるか、それともそれなりの性能でおしゃれな家を建ててくれるハウスメーカーを選ぶか。これは私もとても悩んだところです。
家族でおしゃれさを優先するか性能を優先するかは、じっくりと話し合う必要があります。
一条工務店の良いところと悪いところ
私は一条工務店で契約したことを、後悔していません。私のニーズに一条工務店のコンセプトがぴったりとはまったということです。
しかし人によって満足度は変わるので、誰もが一条工務店の家を建てて大満足しているわけではありません。一条工務店で契約する時に考えておくべきことを書きました。
なお、この記事は一条工務店のi-smart及びi-cubeの2×6工法の商品について書いています。
性能は素晴らしい。しかし間取りの自由が利かない!
間取りの自由が利かないとはインターネットの中でよくで言われており、自分もそれを打ち合わせ中に実感しました。
しかし私は、間取りが自由にならなくてもある程度は仕方がないと考えています。その代りとても高性能な家を手に入れられるわけですから。
人によっては間取りの自由が利かないことについて、最初はそれをある程度理解しているつもりでも、打ち合わせで「できない」と言われることが多いと、「まさかこんなこともできないとは」とびっくりすることもあるかもしれません。
一条工務店は、間取りの制約がある程度多いことを理解しておくことは絶対に必要です。
間取りの自由が利かないことを上回る素晴らしい性能とは?
高気密高断熱
一条工務店のi-smartは、高気密高断熱であることが最大の特徴です。
ところがどのハウスメーカーも、自分のところの商品は断熱性能がいいとアピールしています。
「一条工務店の断熱性能はいいと言うが、他のメーカーもいいとアピールしている。それほど差がないのでは?」と考えてしまう人もいるようです。
しかしまったく違います。
壁にグラスウールを詰め込んだだけのものと、一条工務店のような高性能ウレタンフォームを壁中に埋め込んでいる工法では断熱性能はまったく違います。一条工務店の壁の断熱は、国内ではトップレベルの高性能なものなのです。機密性能もトップレベルです。
気密性と断熱性がいいから、冬にも暖かい家になるのです。
窓の性能
壁はもちろんですが窓もまったく違います。窓も大手のハウスメーカーではトップの性能を持っています。
窓の断熱性能は欧州各国では日本とは比べ物にならない厳しい基準があります。日本のハウスメーカーで一条工務店は、どこの国の基準にも適合できるほどの高性能な窓を標準で提供してくれるのです。
窓や家全体の断熱性や、気密性能は具体的に数値で比較して説明したいのですが、実は一条工務店以外のハウスメーカーのほとんどは、窓の断熱性能の数値や、家全体の断熱性能の数値、気密性能の数値をほとんど出していません。
数値を出すと比較されてしまいます。劣っていることを消費者に知られることがマイナスポイントだと考えるハウスメーカーは、数値を公表しないのです。
これはとても重要なことです。
ハウスメーカー選びをされている方は、絶対に忘れないでいて欲しいポイントです。堂々と数値を出していないのは、数値に自信がないからなのです。その点一条工務店はあらゆる性能の数値を公表しています。
それ以外にも一条工務店ならではの高性能な部分がたくさんあります。これらがあるので、性能を重視される方は満足できることは間違いありません。
間取りが自由にならないこと
さあ、ここからが本題です。
何度も言っていますが、一条工務店では間取りの自由が利かないことが多いです。細かなルールがあり、決められたルールが覆されることはまずありません。
特に強度の問題は、どれだけ交渉しても覆ることはないでしょう。その代表的なものが以下です。
- 強度が足りないと一階の天井に垂れ壁と呼ばれる天井下がりが出る。
- 強度が足りないと一階に耐力壁と呼ばれる壁が追加で出現する。
- どこでも窓が付くわけではなく、3帖以下の部屋には窓が付かない
これらの問題は少しくらいなら我慢できるのかもしれませんが、強烈な耐力壁がLDKのど真ん中に出現したり、天井の目立つ位置に垂れ壁ができたりしてしまうと、いたたまれなくなることもあるでしょう。
間取りの検討段階では、それらとの戦いになることもよくある話です。間取りが自由にならないことや耐力壁の出現は、契約を破棄したいと考えてしまうこともあるくらいの気持ちになる人もいるようです。契約して打ち合わせ段階て間取りの自由が利かないことを知っても手遅れです。
契約前にどのくらいの制約があるのか担当の営業さんに聞いておくといいでしょう。
間取りの自由度と性能
誰だって自分の建てる家は高性能で、間取りの自由度も高く、おしゃれな家がいいですよね。
間取りの自由度はいらない。とにかく高性能な家がいい。そう思っている人でも、先ほど書いたように「ここまで間取りの自由度が少ないとは思わなかった」と考える可能性はあるのです。
2×6工法は間取りの自由度が他の工法よりもないです。これは間違いありません。その中でも一条工務店は、家の性能を考えて間取りの自由度がどこよりも低いと感じています。
しかし間取りの自由度が低いということは、性能重視であればやむを得ないことなのです。間取りが自由になりにくいからこそ、性能が高いと言えるのですから。
どのくらい間取りの自由度がないのか?
これを説明するのは難しいです。一条工務店の設計をしているわけではないので、あくまで想像での話になることをご了承ください。
私の感覚では二階建ての住宅の場合、あまり建坪数が多くなく、決めた建坪数以上にはまったく大きさを変えたくないという条件であれば、間取りの自由度はかなり少なくなると考えます。
二階と一階の壁の位置を揃えるのが2×6工法の基本です。ほんの少しでも無駄なところをなくして、自分の決めた坪数以上には絶対にしないと考えると、一階と二階の壁の位置を揃えることは難しいことになります。
一階にどうしても大きなLDKが必要だと考えた場合、二階には無駄だと思えるくらい大きな寝室ができてしまうかもしれません。それを許容できれば問題ありませんが、二階の部屋は小さくしたいと考えた場合は、壁の位置が揃わなくなり、場合によっては一階の天井に垂れ壁ができたり、招かざる耐力壁がLDKに出現したりします。
資金に余裕があり、少々の無駄な空間ができてもいいと考える人は、建坪数が増えても一階と二階の壁の位置を揃えられることになり、強度不足の判断により垂れ壁や耐力壁が一階に出現することはないでしょう。
垂れ壁や耐力壁は、二階建ての住宅にのみ起きる問題です。厳密には平屋建てでも起きる可能性はありますが、ほとんどは二階建ての住居で、一階と二階の壁位置が揃わないことが原因で起きます。
揃えるためには間取りの調整が必要で、そのために希望の大きさの部屋にならなかったり、部屋の配置が思い通りにならなかったりするのです。
それ以外にも家の強度を保つために、とても厳しく制限を設けています。他の2×6工法のハウスメーカーよりも、厳しい制限があるようです。
間取りの自由が利かないことは悪いことなのか?
間取りの自由が利かないことは、それだけを考えたら我々客としては良くないことだと思うでしょう。実際に私も、強度の問題で間取りが大きく変更になった時は、びっくりしました。
>> 一条工務店の品質意識 耐震強度は家によって大きく違う!!
しかしこれは耐震強度を考えての変更でした。よりいっそう地震に強い家になったと考えると、納得もできました。
確かに間取りが客側から考えたら自由になりにくいことはデメリットですが、地震に対する相当に強い安全性を考えているのは間違いなく一条工務店が一番だと思っています。そう考えると、私は間取りの変更を告げられた時、すぐに納得することもできました。
超巨大地震が来た時、他の家が倒壊したりひどく破損したりした時に、自分の家だけ損傷なしでいるかもしれません。そんな気持ちを抱いてしまいます。
ハウスメーカーは自社の家の耐震強度について公表しています。しかしそれは耐震強度などに特化した間取りの、特別仕様の家を作って計測した結果をカタログに載せているだけかもしれません。実際に私たちが建てる家は、カタログ値の耐震強度よりも劣っている可能性もあるのです。
しかし打ち合わせを続ける過程で思ったのは、一条工務店は私たちの家一軒一軒をつくるごとに、しっかりとした基準を守り、耐震強度がカタログ値から外れないように考えていると考えられました。
間取りの自由度が少ないのはそんな理由からなのです。思い通りの間取りにできるハウスメーカーの家は、もしかしたら耐震強度がカタログ値よりもはるかに低いかもしれないのです。
まとめ
とりとめのないことを書いてしまいましたが、どのハウスメーカーで家を建てても思い通りにならないことは多いと思います。満足できるハウスメーカーとは、満足できる部分が多く、妥協した部分も納得できる内容だということだと思います。
建坪数を抑えたいけど間取りにこだわりたいとも考え、さらに耐力壁や垂れ壁は認めたくないと考えている方は、一条工務店は合わないハウスメーカーと考えましょう。
一条工務店は性能を追求するために、間取りなどの自由度が他のハウスメーカーよりも低いです。圧倒的な性能を重視して間取りの自由度は気にしないようにするか、それとも他のハウスメーカーと契約を考えるのか。契約を考えている方は、ぜひしっかりとこの点を調べて、じっくり検討したうえで判断されてください。
とにもかくにも一条工務店は他のハウスメーカーとは一線を画した、とても面白いハウスメーカーです。最初に書いたとおり、私は一条工務店と契約してよかったと思っています。他のハウスメーカーで建てることなど考えられないです。そのくらい私は一条工務店の家の性能を気に入っています。
しかし性能よりも間取りの自由さなどを重視した場合は、一条工務店でなく他のハウスメーカーを選ばれた方がいいと思います。
一条工務店の家ブログをやっている人はとても多く、住み心地も含めて自分の家を絶賛する記事がほとんどです。私のサイトも同様の状態になっています。
しかし価値観は人それぞれ違います。
私の友人が家を建てたいと言い出したので、一条工務店を紹介しました。話を聞いて、かなり乗り気になっていました。
しかし最終的には、一条工務店を選びませんでした。理由は、一条工務店の家は高いので、日々の生活が苦しくなるかもしれないと思ったからだそうです。
いい家で暮らすことは快適ですが、月々のローンで生活が苦しくなれば、楽しくはありません。友人は快適な家に住むよりも、日々の生活費を節約することなく、豊かに暮らしたいと思ったのです。
一条工務店の家は冬にも温かいですが、坪単価の安い家を建てても、暖房をたくさんかければ温かくなります。今ではどのハウスメーカーも、一昔前と違い、家の性能は上がっています。
一条工務店の家を建てているので、一条工務店の家をおすすめします。しかし本気で心から一条工務店の家に惚れているのでなければ、もう一度ハウスメーカー選びを考えてみたほうがいいこともあるのです。