工務店とハウスメーカー、どちらと契約して家を建てるべきなのでしょうか?
私は工務店ではなく、大手ハウスメーカーの一条工務店で家を建てました。 ハウスメーカーと工務店、どちらと契約して家を建てるか悩んでいる方も多いと思います。家を建てることは一生に一度の大きなイベントです。自分に合ったところと契約したいですよね。
私はハウスメーカーを選んだのですが、家を建ててくれるところを探す場合、工務店を薦められることもあるでしょう。ハウスメーカーか工務店、どちらがいいのか迷うこともあるのではないでしょうか? そのような方のために、ハウスメーカーを選ぶべき理由をまとめてみました。
また最初にハウスメーカーと工務店には、どんな違いがあるかも説明しています。違いを知ることで、どちらと契約することが自分にとってベストなのか判断できます。
家を建てようと考えたばかりの方は、基礎知識としてぜひこの記事をお読みください。
目次 (クリックで飛べます)
ハウスメーカーと工務店の違い
そもそもハウスメーカーと工務店は、どのような違いがあり、どのように分けられるのでしょうか?
一般的には全国規模で営業を行っており、住宅展示場を持っているのがハウスメーカーで、営業範囲が狭く住宅展示場もないところは工務店と言われています。
工務店と名が付いていても、住宅展示場を持った大規模なところもあります。一条工務店は工務店という名前が付いていますが、全国規模の住宅会社であり、建築戸数も2018年は業界一位でした。一条工務店は名前は工務店ですが、ハウスメーカーとするべきです。
その他にも住宅展示場を持っている工務店もあります。ハウスメーカーと工務店の境を決めるのは難しいことも多いです。
この記事では、広告も地元のチラシ程度で大々的な広告しておらず、住宅展示場もない地元密着の工務店の規模の小さな建築会社のことを、「工務店」とさせていただきます。
ハウスメーカーと工務店のどちらで建てるか迷う方も多いでしょう。かかる費用では、ハウスメーカーよりも工務店の方が安くなることが多いです。
安い費用に惹かれて、地元の工務店で家を建てることにした人は多いです。
ただし費用が安いからだけで工務店と契約する前に、どうして工務店の方がハウスメーカーよりも安く家を建てられるのかを知る必要があります。
なぜ工務店は安い?
広告費が掛からない
テレビなどのCMを行うことのない工務店は、広告費用が掛かりません。一説にはハウスメーカーの広告費は、総費用の・・%が広告費だと言われています。広角費用が掛からない工務店は、建築費用がハウスメーカーに比べて安くなります。
住宅展示場の維持費や人件費がない
住宅展示場がない工務店がほとんどです。ハウスメーカーには住宅展示場の維持費や人件費が掛かっています。これがないことも、工務店で家を建てると安くなる理由の一つです。
会社の基準がないので安い材料を選ぶことができる
ここが一番重要なことです。工務店は、どこに何を使わなければならないという基準がないところも多いです。窓ガラス、断熱材、床材、屋根材など、手に入ればいくらでも安価なものが選べるのが工務店です。そのため安価に家を建てられます。
私の建てた一条工務店では、建築費用を下げてもらうために、窓ガラスを安いものに変えたり、断熱材をグレードダウンしたりすることができません。そのために一定の品質の家が建てられるのです。しかし地元の工務店では、その気になれば安い材料を使って家を建てることができます。予算が足りない人にはとてもありがたいのですが、安価に家を建てれば、その分だけ性能も落ちます。当たり前のことですが、このことはしっかりと理解しておきたいところです。もちろん高性能な材料を使えば性能の高い家を建てられることも忘れてはいけません。
工務店と契約するメリット
先ほど書いた「工務店はなぜ安い?」という内容を含めて、工務店と契約するメリットをもう一度まとめてみます。
[box class="blue_box" title="工務店を選ぶメリット"]
- 広告費用が掛からないため、安い見積もりを提示してもらえる。
- 地域密着で問題を迅速に解決してもらえる可能性がある。
- ハウスメーカーほど制約がないため、間取りやデザインなどが客の要望に応えてもらえる可能性が上がる。
- 問題ない程度に傷のついた新品を、格安で取り付けることにより建築費用を下げてもらえることがある。
[/box]
工務店ではこのようなメリットがあると言われていますが、実はすべて正しい話ではないのです。
工務店のメリットについて
工務店のメリットで疑問に思うことがたくさんあります。工務店関係者の方には申し訳ないのですが、工務店のメリットに対する私の考えを述べさせていただきます。
1)広告費用が掛からないから工務店が安いという意見について
確かにハウスメーカーは住宅展示場を持ち、その維持経費も掛かります。また営業社員の給料も必要になります。その他広告費用も掛かっています。
これらが必要ない地元の工務店は、安いイメージがあるかもしれません。
しかしハウスメーカーでもコストダウン履いています。設備などを大量発注、大量購入しているため、単価をかなり下げることができます。
また、上棟後の工事も徹底的に簡素化することで、建築時間も工務店の2/3くらいで終わることが一般的です。
それらのため、同じ家を建てた場合の費用は、それほど変わらないと考えています。
2)地域密着で問題を迅速に解決してくれるという意見について
工務店にも様々なところがあり、地域密着だからとすぐに行動してくれるとは限らないのではないでしょうか。
ハウスメーカーで対応が悪いと、すぐにインターネットで悪評が拡散されてしまいます。
しかし工務店は客も少なく有名ではないため、インターネットに文句を書き込んでも、誰にもわからないし、誰も興味を持ちません。
そのようなことから、客に対してぞんざいな態度を取っても、マイナスになりにくいため動きが悪くなることもあります。
工務店だからといって、問題に対する対応がいいとは限らないのです。
3)工務店の方が間取りやデザインは客の要望に応えやすいことについて
これは間違いないことだと思います。
ハウスメーカーでは決められている基準を変えて家を建てることはできません。しかし柔軟に対応してくれる工務店を選べば、かなり客のニーズに沿ったデザインの家が建つ可能性はあります。
注意したいのは、自由度が高いことは必ずしもいいことではないのです。特に耐震強度については、「計算上の」強度ぎりぎりの家を建てることも可能です。
大きな掃出し窓のある家を望んで、それが実現したとします。しかし耐震強度の基準はどのくらいなのでしょうか。
国の基準ぎりぎりの場合、大きな地震が来た時に倒壊するかもしれません。
基準がないということは、どんな材料でも使えるということです。
値段を下げるために安い木材を使うことも自由です。家を建てて壁を作ってしまえば、壁の中の柱の様子はわかりません。
国に提出する構造計算の書類に書かれた材質の木材よりも、強度の低い安い物を使った家になっていても、見た目では絶対にわからないのです。
ハウスメーカーで家を建てれば、手抜き工事だけは絶対にないとは言えません。しかし材料を規定と違うものを使ったり、壁の中の梁が少ないなどのことは、ほとんどないと考えられます。パーツはすべて工場で一括して生産しているためです。
材料や構造に問題がある家を建てられる可能性は、悪徳工務店ならあり得ますが、ハウスメーカーではほぼ起きないと考えて間違いありません。
4)工務店が傷物の新品を入れて価格を下げられるということについて
これは、工務店でないとできません。
私の実家も、ステンレスの浴槽を入れる時、大工さんが傷のある浴槽を探してきて、値段を下げて取り付けてくれました。
このようなことはハウスメーカーではまずできないことでしょう。このようなコストダウンができるのは、工務店ならではです。
以上のように、工務店のメリットはありますが、私はあまり多くないと考えています。
特に間取りの自由度が高いことは利点だけのように感じられますが、実際はあまり自由設計をすると、強度の低下につながる恐れのあることは、忘れてはいけないのです。
ハウスメーカーと契約することのメリット
お金を掛ければ高性能な家が建ち、予算が少なければ安価に家が建てられる工務店の方が、予算に応じて柔軟に対応してもらえるで、すべてにおいていいのではないかと考える知り合いはたくさんいました。しかしハウスメーカーを選ぶことで得られるメリットも多いのです。
建築期間が短い
建築時間は、ハウスメーカーの方が圧倒的に速いです。理由は、組み立てやすいパーツを大量生産しているため、作業工程が簡素化されているためです。
建築期間が短いことで得られる恩恵は、賃貸住宅の賃貸料を節約できることが挙げられます。2ヶ月完成までの期間が早くなれば、賃貸住宅で暮らしている方は、賃貸費用が2ヶ月分浮きます。8万の賃貸住宅であれば、2ヶ月で16万も節約できます。
2×4工法の住宅を建てられる
工務店の建築方法は、圧倒時に在来工法が多いです。2×4工法は、少し規模の大きな工務店ならばできますが、地域密着の小規模な工務店ではできません。
建築方法から考えると、2×4工法は気密性を上げることができます。工務店では在来工法がほとんどのため、気密性の高い住宅を建てるには、2×4工法のハウスメーカーの方が有利です。
鉄骨住宅が建てられる
鉄骨住宅は、小規模の工務店では絶対に建てられません。鉄骨住宅を建てたいと考える方は、鉄骨系のラインナップを持ったハウスメーカーを選ぶしかありません。
ブランドイメージでの満足感がある
誰でも知っているハウスメーカーの高級住宅を建てた場合、ブランドイメージによる高い満足感を得られます。気にする日とはとても気にすることですが、ブランドに興味のない人は特に重要なことではないですね。
設備を安価で入れられる
ハウスメーカーで家を建てるメリットは、設備などを安価に入れられることが挙げられます。
私の契約した一条工務店では、キッチンやカップボード、洗面台やオープン階段などの設備だけでなく、窓ガラスやサッシまでも自社生産しています。そのため設備の単価が安くできて、高性能な物を入れられます。
一条工務店ではない大手のハウスメーカーも、キッチンなどの設備のメーカーから大量に仕入れることで、安価に物を手に入れることができます。その分の費用を抑えることができるのです。これは地元の工務店では真似できないことです。
品質にばらつきが少ない
ハウスメーカーは少しでも現場での建築工程を減らそうと努力しています。そのため出来上がったものを組み立てるだけというイメージの家も多いです。製造工場でかなりのところまで作り込んで運ぶため、現場で行う作業が少ないのです。その場合、建てられた家の品質にばらつきが少なくなります。
作業工程が少なく簡略化された方が、ミスによる欠陥住宅になる可能性が減ることは間違いありません。
これはかなりのメリットです。工事期間が短くなることはすでに挙げましたが、それ以外にも、工事ミスが少なくなることが大きなメリットです。
インターネット上の情報では、ハウスメーカーも工務店も、工事するのは工務店だから同じクオリティーの家が建つという意見がありました。しかしまったく違います。私の家を建てた時の建築現場ですが、細かいところまで大工さんに指示があります。
このように明確に作業方法を記すことで、施工ミスをする確率は、かなり少なくなっていると言っていいでしょう。
第三者に見られる意識が高品質を生む
大手ハウスメーカーの仕事は、大工さんたちも人気です。仕事を取りたいと必死になって作業します。
その結果、しっかりした工事がされることになります。
工事期間にはハウスメーカーの監督さんが、定期的に仕事のチェックも行いますから、手抜きはできません。
第三者にチェックされることを意識すると、仕事はいい加減に行うことができない心境になります。
自由度が高くない代わりに、耐震強度はすばらしい
ハウスメーカーの鉄骨住宅や2×4工法の家は、自由度が高くない代わりに、耐震強度が素晴らしい家が建つことが多いです。
自由度が高くないということは、安易に大きな窓を付けたり、構造上重要な壁を減らしたりできません。
この結果、とても高い耐震強度が得られます。
開発費に費用を掛けているため、工務店より高性能の家が建つ
ハウスメーカーの開発費用は、工務店とは比べ物になりません。
工務店が柱を立てて家を作る在来工法がほとんどであるのに対し、ハウスメーカーは2×4工法や鉄骨住宅が選べます。
そしてそれらの家には、多くのテクノロジーが行かされています。これは大手ハウスメーカーでないとできないことです。
住んでしまえば違いは分からないかもしれませんが、地震の時にはそれらのテクノロジーが生きて、大手ハウスメーカーの家は倒壊率も低くなるという報告もあります。
ハウスメーカーは高い?
大手ハウスメーカーは高いと思われる方もいるでしょう。
しかしローコストハウスメーカーというカテゴリーがあり、そこに該当するハウスメーカーは、とても安価な坪単価で家を建てることができるのです。
タマホームやレオハウスと聞くと、聞いたことがある方がほとんどだと思います。それらのローコストハウスメーカーは、安い工務店に負けないプランを提供してもらえるのです。
工務店とハウスメーカー
広告費や展示場維持費、よけいな人件費がかかる分、ハウスメーカーは建築費用が上がります。しかし設備を安価に仕入れることができますし、各パーツを大量生産することでコストダウンが図れます。
ハウスメーカーは工務店に比べて余計な経費が掛かりますが、工務店よりもコストダウンはできるのです。
これらを考えてみると、まったく同じ家を建てたら、どちらも同じくらいの建築費になるのかもしれません。
私はハウスメーカーで家を建てることを推奨していますが、建築費用を徹底的に下げたいと考える方は、工務店で安い材料を使って家を建てるか、ローコストハウスメーカーを選ぶかで迷うことがあってもおかしくありません。
まずは様々なハウスメーカーの住宅展示場を回って、建築費用の相場を知ることから始め、その相場を元に工務店を回ってみることがいいでしょう。
先に工務店を回ると、どれほどの低予算でも家が建てられるような話をされることがあります。その場合は、相当な品質の悪いものになる可能性が高いです。しかし我々顧客は、一度安い予算で家が建つと言われてしまうと、性能が良くても値段が高いことに納得できなくなります。建築費用は客にとって最も大きな比較ポイントだからです。
工務店で言われた(品質の悪い家の)安い建築費用が頭の中に残ってしまい、それよりも高いハウスメーカーを選ぶ気持ちがなくなってしまうことは、よくあることなのです。
工務店に興味がある方も、まずはハウスメーカーの展示場を先に回ってみることをおすすめします。
参考までに、私の建てた一条工務店の満足度についての記事があります。興味のある方はご覧ください。👇
-
ハウスメーカー選び 一条工務店i-smartを選ぶべき人 家を建てた後の満足感
一条工務店のi-smartを建てて満足できるのはどのような人なのでしょうか? 家づくりのための打ち合わせをしている最中や、建設途中、そして入居後に、ハウスメーカー選びを間違えたと感じてしまうと、満足 ...
続きを見る
まとめ
ここまで紹介してきたように、ハウスメーカーで家を建てるメリットはとてもたくさんあります。
それ以外にも、大手のハウスメーカーで立てたことは、何がなくとも自慢できるようなイメージもあり、満足感も増すことがあるでしょう。
工務店の関係者の方たちには申し訳ないのですが、やはり家を建てるならハウスメーカーを選ばれることをお勧めします。
どのハウスメーカーで家を建てるか迷われている方は、先ほども書いたとおり、住宅展示場を回ってみましょう。家の知識がなくても展示場を回って話を聞いているだけで知識が身についていき、経験とともに自分にはどのハウスメーカーが合っているのかがわかるようになります。
ただし住宅展示場をかなりたくさん回らなければならず、時間もかかります。経験豊富な展示場の営業の方のトークに乗せられることを心配をする人も、私の知り合いにいました。
そのような懸念を持った方は、自分に合ったハウスメーカーを無料で選び出してくれるサービスを使ってみるのもいいかもしれません。
この記事を読まれた方が、いい家を建てられることを祈っています。