新築する時、トイレの位置をどこにするか考えることになります。付ける場所によっては、生活するのに不便を感じることにもなりかねません。
毎日必ず使うトイレの場所は、しっかり検討した方が後悔のない間取りになり、入居してからも快適に過ごせます。
トイレを付ける場所について、基本的なことをまとめてみました。
目次 (クリックで飛べます)
トイレの位置で注意すべきポイント
LDKの真横は注意
LDKのすぐ横にトイレを付けると、少し気になることが出てきます。
トイレで出す音がLDKに聞こえてしまうことです。これはとても気になります。
わが家ではトイレとLDKの間に1畳の廊下(ホール)が設けてあり、LDKとトイレを隔てるドアは2枚あります。
わが家の場合は2枚のドアを両方閉めれば音は聞こえなくなりますが、ドアが一枚だとトイレの音が洩れます。LDK側のドアを開けたままにした状態(ドアが一枚の状態)がLDKの真横にトイレがある状態と同じだと考えると、それはかなり問題だと思えます。
最近の家は、気密性がよくなっているために、家の外から風が入ってくることはあまりありません。そのためトイレなどの個室は、長く滞在するとCO2(二酸化炭素)濃度が高くなり、人体に悪影響が出ることもあります。その対策として、ドアに隙間を多く作るような対策をしてある家が非常に多くなっています。
わが家でもトイレのドアの上と下に、意図的に隙間が多く作ってあります。
画像はトイレのドア上側にある隙間です。
このような状態のため空気の通りがよくなるだけでなく、音も他の部屋に伝わりやすくなっています。
現在建てられる家では、トイレの音は昔の家よりも他の部屋に聞こえやすくなっていると考えてもいいのです。
「前の家でそれほどトイレの音は聞こえなかったから」と思って、LDKの真横にトイレを付けると、聞こえてくる音が大きくて、びっくりするかもしれません。
室内での音が、他の部屋に伝わりやすい現在の住宅では、トイレはLDKのすぐ横に隣接して付けないことをおすすめします。
音だけでなく、芳香剤の問題もあります。
トイレの芳香剤は、独特の匂いがあります。その匂いがLDKに漂ってくると、いい気持ちはしない人が多いでしょう。
来客時には要注意です。日ごろから毎日LDKにトイレの芳香剤の匂いが流れ込み続けていると、鼻が慣れてしまって気にならなくなります。しかし来客者離れていないから匂いに気付くことになります。
LDKの横にトイレがあると、トイレの芳香剤の匂いが気になることがあります。
わが家ではLDKの真横にトイレがあるわけではないですが、それでもトイレの芳香剤の匂いが家中に漂うのは気になります。
そこでわが家では、トイレでもトイレ用芳香剤を使わず、普通の部屋に置く芳香剤を使っています。
玄関付近にトイレを付ける注意点
玄関付近にトイレを付けている家庭も多いようです。
ただし玄関土間から見える位置にトイレを付けた場合、来客があって家族の誰かが玄関で話をしている場合、他の家族がトイレを使いたくても使いにくい場合があります。
トイレに入っているときに来客があり、家族が玄関で話し込んでいる場合、トイレから出にくいこともあります。
玄関から見えない位置にトイレがあった場合ならばそれらの心配はありませんが、それでも水を流す音が、来客者に聞こえてしまいます。
玄関付近にトイレを付ける場合は、そのようなデメリットがあることも理解しておくといいでしょう。
脱衣所や洗面所付近にトイレを付ける
LDKから直接トイレにつながらないように考えた結果、洗面所や脱衣所の奥にトイレを付けることを考えることがあるかもしれません。
しかし注意が必要です。この場合、誰かがお風呂に入っていると、トイレが非常に使いにくくなります。
年頃の娘さんがいて入浴中の場合は、ガラスで仕切られた浴室の横を通ってトイレに行くことはできないでしょう。
歯磨きをしている人がいるとその横を通り抜けるのも気が引けます。
脱衣所や洗面所を通らないとトイレに行けないような間取りは、絶対にやめた方がいいです。
ただし洗面所や脱衣所を通らないことが前提で、洗面所横にトイレを付けると、思いのほか生活がしやすくなることがあります。
お風呂に入ってからトイレに行くという流れも、近いと自然にできます。わが家では洗面所とトイレがすぐ近くにありますから、朝支度もほとんど歩かずに迅速に行えます。
またトイレや洗面所、浴室などの水を使う設備を1ヶ所に集めることは、排水管の長さも短くできますし、単純な配管で済むことになります。スムーズに水が流れるようになり、配管が詰まりにくくなるというメリットもあります。
二階のトイレについて
一階と二階の両方に付けると、とても便利です。家族の誰かがどちらかのトイレを使っていた場合、別のトイレを使うことができれば、待つことはありません。
二階に洗面台を付けたうえでトイレも付ける場合は、水の流れを考えた場合、それらをすぐ近くに設置することを強くお勧めします。
一階天井の中に、水が流れる排水パイプを通します。この水は二階床(一階天井)から下まで流さなければなりません。そのためには一階の壁のどこかに、パイプスペースと呼ばれるスペースが必要になります。
わが家のパイプスペースですが、キッチン横の壁にあります。冷蔵庫横の出っ張った部分に、二階の水設備から流れる水を通すパイプが入っています。
このパイプスペースは、なるべく少ない方が一階がすっきりします。水を使う設備が複数あり、それらが離れている場合、パイプスペースを2ヶ所設けなければならないこともあります。
そうなってしまう理由は、一階天井の厚みが限られていて、その限られた中でスロープを作り、水を流さなければならないからです。距離が遠くなるとパイプの勾配も少なくなり、水が流れにくくなります。たくさんの水を流した時に流れきれずにフローしたり、パイプが詰まりやすくなります。このようなことを避けるため、水を使う設備が離れている場合、パイプスペースを二ヵ所設けることになってしまいます。
パイプスペースが2ヶ所になるということは、一階の壁の出っ張りが2ヶ所になるということです。このスペースは本当に邪魔なので、できる限り1ヶ所で済ませるためにも、二階にトイレを付ける場合は、洗面台に近くした方がいいのです。
わが家では二階のトイレは、洗面台のある書斎のすぐ隣にあります。
階段の下にトイレを付ける
階段の下にトイレを付けることもあります。スペースが有効活用できます。
ただしトイレを階段の下に付けた場合、天井が斜めになって個室が広く感じられず、圧迫感を持つこともあります。
階段の下は収納スペースとして活用することができます。一階には収納スペースは絶対に必要で、どこかに収納スペースを別で付ける計画があるのなら、そのスペースをトイレにして、階段下を収納スペースにする方がいいこともあります。
最後に
以上、トイレの位置について、私が家づくりをする時に得た知識を紹介しました。
限られた床面積の中でトイレの位置も完全に理想通りの位置にするのは難しいこともありますが、設計士さんとうまく話し合いを重ねれば、いい家が作れると思います。