わが子の誕生を待つ妊婦さんやその旦那さんは、ダウン症という病気を知っている人も多いと思います。
ダウン症候群とは、染色体の異常で起きるもので、21番目の染色体が通常2本のところ、1本多く3本あるものです。
ダウン症候群の場合、知能や身体に発達の遅れがみられます。またダウン症候群の人には、心臓や目、消化器系の疾患や、難聴、甲状腺機能低下症などの合併がみられることもあります。
大変言いにくいことですが、ダウン症の子供を育てるのには、私だとしたらとても苦労することを予想しました。妻が妊娠した時に、健康な子供が生まれて欲しいと心から願いました。
そしてダウン症候群であるかどうかは、赤ちゃんが妊婦さんのおなかの中にいる時に、調べることができると知りました。
新型出生前診断(NIPT)とは?
NIPTとはNon-Invasive Prenatal genetic Testingの略で、妊娠10週から行える検査です。
NIPTは主に21番染色体異常であるダウン症候群(21トリソミー)を心配される妊婦さんが受ける検査だという認識がありますが、染色体疾患の他にも、微小欠損症なども調べることができます。
染色体異常は全部で22種類あり、そのうち特に発生例の多い13番(パトー症候群)、18番(エドワーズ症候群)、そして21番(ダウン症候群)の3つを検査してくれる機関が多いです。
機関によってはス22種類すべての染色体を調べてくれる上に、性染色体異数性(23番染色体)と微小欠失症など、可能性は低いですが胎児でわかる疾患を数多く検査してくれるところもあります。
検査で異常が見つかった場合
妊娠中に胎児がダウン症であるとわかった場合、堕胎を考える人が多いようです。異常が見つかった場合、堕胎することを考える人は80%を超えると言われています。
ダウン症の子供だと知っても出産すると考える人は、おそらくダウン症検査はしないと思います。ダウン症だと判明したら中絶する気持ちがある人が、検査を受けることがほとんどでしょう。
堕胎は自然の摂理と乖離した正しくない行為だという意見を持っている人は多く、その人たちにとっては、ダウン症検査をすることも正しくない行為になるのです。
私はダウン症検査をすることは、妊婦さんやその家族が「それが正しい」と考えたのなら、それでいいと思います。
子供を育てていくのは、そのご家族です。他人が口出しすることではないと思います。
私はダウン症検査を、したいと考えていました。しかしその当時、私は努めている会社の職場が変わって、大変な激務に追われていました。
多忙なためいつの間にか、堕胎できる妊娠22週未満の期間を過ぎてしまいました。このためダウン症検査をする機会を逸しました。結局はダウン症検査を真剣に考えていなかったのかもしれません。
私が真剣に考えなかったのは、妻が妊娠した時は20台前半で、最もダウン症になる確率の低い年齢だったことが大きな理由です。
いずれにしろ私たち夫婦は、ダウン症検査は行いませんでした。
ここまで読んでいただいた人の中には、私がダウン症の子供が母親の体の中に宿っていると知ったら、中絶する気持ちが大きいと感じ、不快感を持つことがあるかもしれません。
少しだけ弁解させていただくと、私は自分の子供が妊娠中にダウン症であることが分かった場合は、中絶も考えていました。
しかし私はダウン症の子供が悪だと考えているわけではありません。
ダウン症の人に対して、嫌悪感を持っていることもありませんし、ダウン症でも前向きに頑張っているこのニュースをネットで見ると、素晴らしいことだと思います。
しかし本音で書かせていただくと、やっぱり自分の子供は、ダウン症ではない普通の子であって欲しいと強く考えていました。健康な子が生まれて、将来は東大に入ったり、オリンピック選手になったりすることを夢見る気持ちは、多くの親御さんが持っていることだと思います。大変申し訳ないのですが、ダウン症の子供が生まれた場合、それらの可能性はほぼ潰えてしまいます。それはやっぱり寂しいです。
本音をはっきり書かせていただきますと、他人の子供がダウン症であることに対して温かい気持ちで見ることはできますが、自分の子供がダウン症であったら、「それは困る」と思っていたのです。
私は立ち合い出産をしました。
生まれてきたわが子は、強烈な二重まぶたでした。ダウン症の赤ちゃんには、まぶたが二重だという特徴があると知っていたので、ちょっとびっくりしました。
私は冷静に、医師や看護師の方たちの表情を見まわしました。分娩室には6人ほどの医師や看護師がいましたが、全員がニコニコ笑って「おめでとう」と言ってくれました。
数人の人がいれば、困った状況になった時に演技ができずに暗い顔をする人が、1人くらいはいるものです。しかし1人も心配そうな顔をしている人がいなかったので、わが子はダウン症ではないと確信できました。そして本当にほっとしました。
二重まぶたのわが子を見た時、検査をしておけばよかったと、本気で思いました。そしてもしこの子がダウン症であると妊娠中にわかったら、きっと中絶することを選択しただろうと思いました。
ひどい人間だと思う人がいるかもしれませんが、これが私の本音です。
ダウン症は年齢とともに発症する確率が上がっていきます。
40歳の妊娠は、30歳よりも10倍もダウン症の発症率が高いと言われています。
多くの場合、ダウン症の子供は親がずっと面倒を見る必要があるようです。発症率の高い高齢出産の方は、子供の面倒を見る時間も限られます。自分が高齢になった時、ダウン症の子供の面倒を見るのはとても大変だと思います。
このような多くの可能性を考えたうえで、ダウン症の検査をすることを選択したとしても、私は絶対に間違っていないと思います。
数年前までは、ダウン症の検査は母体共に危険を伴うものでした。
しかし現在の新型出生前診断(NIPT)と呼ばれるものは、お母さんの血液摂取のみで、とても安全です。流産の心配もありません。
迷っているうちに、私のように堕胎できる時間が過ぎてしまうこともあります。
私は人生でどちらを選択すればいいのか迷ったとき、考えられるメリットとデメリットのすべてを書きだして考えます。それをすると進む方向がはっきりするのです。
迷っている方は、ダウン症検査をするメリットとデメリットを、すべて洗い出して考えてみることをお勧めします。
私の子供はダウン症ではなく健全に成長していますが、今でももしダウン症だったとしたら、検査をしなかったことを絶対に後悔したと思っています。
ダウン症の子供を、「生んでよかった」と言われているご家族はたくさん存在します。
しかし「生まなければよかった」と考える人もいるはずです。そのような人の声は、メディアで紹介されることもありません。その結果世論も、ダウン症の子供を育てることは美徳とされていることが多いように感じます。
中絶を反対される方にはお叱りを受ける内容かもしれませんが、誰でも人生は一度きりです。後で後悔しない判断をしなければなりません。
今では非人道的な意見を発すると、攻撃を受けることも多いです。そのためこのような意見をインターネット上でも見ることがあまりないのではないかと思います。
批判は覚悟で、私の本当の気持ちを書きました。
ダウン症検査で有名な機関は、全国各地にあります。
紹介しておきますので、興味のある方はホームページでご確認ください。